「昔は絵を描いていたんです。今はこうして恥をかいているわけですが」と話すおじさんとパリの夜

ローマ、パリにいってきました。
ローマは二度目、パリは初めてだったんですけど、パリのバス観光ツアーに申し込んだときの事を。


パリの市内バス観光や、ベルサイユ宮殿のバス観光などを現地で企画運営している会社があるようでして、そこのツアーに参加しました。
そこでガイドをしている男性の話がとても興味深く、色々と考えてしまいました。


市内を巡りながら色々説明をしてくれるのですが、どこだったかの美術館を通り過ぎたときに、ガイドのおじさんがこんなことを言っていました。


「私、こう見えても昔は絵描きだったんです。昔は絵を描いていまして、今はこうして恥をかいているわけですが」
(車内から軽い笑いが起こる)


この言葉を聞いた瞬間に、色々な想像というか妄想が広がってしまって、その後の説明はあまり覚えていません。
このおじさんの言葉は、単なる冗談。お客を和ませるいつものネタなのかもしれません。
でも「今はこうして恥をかいている」という言い方。
これって、こういうことなんじゃないかと想像したわけです。

・このおじさんは若い頃に、絵の勉強のためにパリへ渡って来た
・絵では成功せず、日本にも帰ら(れ)ず、パリで観光ガイドのアルバイトをしている
・今の自分の境遇を恥だと感じている


もちろんこれは勝手な妄想で、実際にはパリで旅行会社を経営して大成功している人かもしれませんし、日本の会社に所属していて、今はたまたまパリに来ているだけかもしれません。
でも、恥をかいてるという一言が、なにかとっても重く響いて聞こえたんですよねー。
なぜか。

そのあと、おじさんはこんなことも言っていました。
・20数年パリにいて、ムーランルージュ近辺の歓楽街では何度かボッタクリにあった。
・ヨーロッパ中で「スケベ代」に相当お金をつぎ込んだ

単にこれだけ聞くと、単なる冗談やボッタクリに注意という話なんですけど、その前の恥をかいてるという言葉と合わせると今までにどんな人生を送って来たんだろうと、考えてしまったのでした。